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従いまして国内のいろいろな福祉施設やボランティアの活動状況、また、海外の福祉施設やボランティア団体等の人達とも非常に親しく接する事が出来ました。まさにこれからの福祉政策如何によって、我が国が本当に立派な国として存続出来るかどうかにかかっているのではないかというくらい、私は強い意識を持って福祉、ボランティアの問題に取り組んでいきたいと考えております。
特に私が英国で接しましたホスピス関係、これはボランティアの最終的な形ではないかなというように考えております。英国の人達と接したり、現場を見たりしまして、本当に末期症状の人達がホスピスに入る時は苦痛に歪んだ顔でございますが、亡くなる前の顔というのは非常に穏やかな満足しきった明るい顔で亡くなるのです。この僅かな期間をボランティアの人達(宗教団体が殆どバックにあるわけですが)が支えていますし、更に一般市民で協力したいけれど、どうしても時間が無いという人達のために、自分の銀行口座番号を登録すれば毎月一定金額が引かれるという金銭的な面で貢献する仕組みがあり、非常に素晴らしいと感じました。日本でも是非取り入れたいシステムなので、県議会の時に執行部の方に強く要望したりしました。
県内におきましては、埼玉県の高齢者事業団関係でも、長年いろんな分野で活躍していた人達が高齢者事業団に入りましても、非常に限られた分野での活動しか出来ていない状況です。これは狭山市を例にとっても大勢の高齢者の人達がいろんな活動に参加されておりますが、どちらかと言えば労働中心型の作業に終わってしまっているという事もあり、非常に残念に思いました。
高齢者の過去の豊富な経験を生かすためにも、コンピューターにいろいろな経歴や専門分野等も登録し、講師として活用出来るような形を是非作ってほしい、という事も県に要望致しました。おそらく作っていただいていると思います。
このような中で、坂東副知事の貴重なお話にもありました通り、自分の持っている能力を最大限に人のために生かす事がこれからの社会に必要な事であり、それを受ける方も当然感謝の念を持ってサービスを受ける。与える方も自分の持っている能力を再活用するという意味で、本人にとっても非常に大きなメリットがあるのではないか、と考えております。
21世紀はお年寄り中心の高齢社会になりますが、それと同じ様にもっと大切な事は、今の子ども連の生活環境です。子ども達が育っていき21世紀を背負うこの間の準備期間に人に対する愛情などを自己の中に芽生えさせ、自分達を1つの個人として見つめながら自分で成長していくプロセスを欠いてしまっては、21世紀は希望のない社会になってしまうのではないかと、非常に懸念をしております。
そういう意味で今後のボランティアの在り方にっきましては、勿論高齢社会ですからお年寄りや障害者のためのボランティア活動は必要ですが、それと同じ様に今の子ども達が本当に健やかに成長するためのいろいろな活動に、多くのボランティアの人達が率先して参加し、子ども遠の人格形成に寄与していく事も大事なのではないか、従来のボランティア活動をもっと広い範囲から見直し構築する事が必要ではないか、というように考えております。
田中 ありがとうございました。ちょっと楽しい議論になりそうな感じのお話をいただき

 

 

 

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